著作権の初歩

著作権・・・

「著作物 思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術、または音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法第2条)
感情を創作的に表現したものに該当すれば子供の書いた日記も著作物となり、書いた子供がその著作者です。年齢や職業、うまいへた、価値のあるなしは問題ではありません。今や個人が世界に向けて情報を配信出来る時代ですね、インターネット上にはそんな著作物が氾濫しているのです。
著作者には著作物についての権利が付与されています、これが「著作権」です。著作権は時代の流れに合わせて我々のとても身近な存在となり、誰もが権利侵害の当事者になる時代となったとも言えますし、その知識は必須です。理解と意識を高めなければ、知らぬ間に被害者にも加害者にもなってしまいます。
そしていざトラブルが発生しても「知らなかったではすまされない」話なのです。しかしひとくちに著作権といっても、新聞雑誌、本、映像や音楽など取り巻く環境はとても広大です。ここではブログやメルマガの配信にあたり、知っておきたい著作権のごく初歩的な知識をまとめてみました。

 

 

著作物について

 

定義と種類

著作物の定義は「思想または感情を創作的に表現したものであり、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」ですね、さらに著作権法10条では著作物の種類を以下の通り例示しています。

   
言語の著作物 小説・脚本・詩歌・俳句・論文・レポート・作文・手紙・講演など
音楽の著作物 楽曲・楽曲を伴う歌詞など
舞踊、無音劇の著作物 日本舞踊・バレエ・ダンス・舞踊・パントマイムの振り付け
美術品の著作物 絵画・版画・彫刻・マンガ・書・舞台装置など(美術工芸品を含む)
建築の著作物 芸術的な建築物
地図・図形の著作物 地図・学術的な図面・図表・設計図・立体模型・地球儀など
映画の著作物 劇場用映画・アニメ・ビデオ・ゲームソフトの映像部分などの「録画されて動く影像」
写真の著作物 写真・グラビアなど
プログラムの著作物 コンピューター・プログラム

 

著作物とは文章で書かれたもの、あるいは出版物と誤解している人もいるかもしれませんが、そうではありません。文章で書かれたもの以外も著作物となるのです。

 

著作物に該当するものしないもの

著作物の定義から、その条件となる4項目をもとに著作物に該当しないものを単純にまとめてみます。

著作物の定義 著作物に該当しないもの
思想または感情を 単なるデーターは著作物ではない
創作的に 模倣品は著作物ではない
表現したものであって アイディアは著作物ではない
文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの 工業製品や実用品は著作物ではない

 

しかし現実の問題となれば、こんなに簡単に判断はできません、著作権や肖像権をめぐる論争や裁判は後を絶ちません、情報技術のスピードに法の整備が追い付いていけないのが現状なのかもしれません、困ったら専門家に相談することですね。

 

 

著作者について

 

子供だって著作者です

「著作者 著作物を創作するものをいう」(2条)著作権法上著作者はこのように定義されています。著作者にはプロもアマもありません。たとえばブログを書いたり絵を画いたり写真を撮った人は創作性があればすべて「自動的に」著作者となるのです(登録は不要です)、大人も子供も関係なければ創作したモノのうまいへたや価値も問われません。

 

共同著作はどうなる

ハンドルネームの書き込みも創作性があれば著作物なので書いた本人が著作者となります。また共同で著作物を作った場合、担当した部分がわかっていれば各自が担当部分の著作者であり、誰がどこを書いたか明確に区分できない場合の著作物については「共同著作」となり、それに関わった人全員がその「著作者」になります。

 

そして著作者には「著作者人格権」と「著作権」の二つの権利が付与されます。

 

 

著作者人格権について

 

著作者だけの権利です

著作者の人格的な権利を保護するもので、著作物に対して、以下の3つの内容を権利として得ることが出来ます

   
公表権(18条) 著作物を公表する・しない、どのように公表するのかを決められる権利
氏名表示権(19条) 著作物に自分の使命を表示する・しない、その名前をどうするのか(本名・ペンネーム)を決められる権利
同一性保持権(20条) 著作物を勝手に改変・変更・削除などすることを認めない権利

著作者人格権は著作者だけの権利であり、他人に譲渡や相続はできません、著作者の死亡によって消滅することになります。付与された権利が侵害されれば、権利侵害者に対し損害賠償などの請求ができるわけですね。

 

つぎに著作権(財産権)についてまとめてみます。

 

 

著作権(財産権)について

 

著作者の権利

著作権(財産権)とは著作物を独占的に利用することができ、他人には勝手に利用されない法的な権利です。以下の通り12種類の権利があります。この権利はすべて許諾権であり、他人が著作権を使用するには著作者の許諾が必要となります。

   
コピーに関する権利 複製権(21条)
公衆に伝えることに関する権利

上演権・演奏権(22条)
上映権(22条の2)
公衆送信権(23条の1項)
公の伝達権(23条の2項)
口述権(24条)
展示権(25条)

コピーの売買や貸与に関する権利

譲渡権(26条の2)
貸与権(26条の3)
頒布権(26条)

二次的著作物(翻訳など)に関する権利

二次的著作物の創作権(27条)
原著作者の権利(28条)

著作者は、著作物の利用の承諾も拒否もできます、使用料の支払いを条件に了解することもできます。著作権を侵害された著作者は、権利を侵害したものの差止請求、損害賠償の請求、謝罪文の掲載などの請求もできるわけです。

 

保護期間は

保護期間は以下の通りです
・ 著作者が明らかである著作物については、著作者の死後50年
・ 著作者が不明、団体名が著作者の場合、公表後50年
・ 映画の著作物は公表後70年

 

 

著作物の取り扱いについて

 

ネット上は著作物の山

インターネット上には誰にでも簡単に入手できる記事や画像があふれています、しかしこれらは「著作物」の山でもあるわけですね。うっかり著作権者の承諾(了解)を得ず無断でコピーなどを行うと、権利の侵害となります。

 

承諾なしに利用できる著作物

模倣品や単なる「データー」であれば著作物に該当しないため問題はありません。また、一般的に権利は絶対的なものではなく著作権法上においても「権利制限規定」と呼ばれる例外規定があり、一定の例外的な場合には著作権者の了解を得ずに著作物等を利用できるとされています(30〜50条)。

 

たとえば

 

私的使用(30条)

インターネット上の写真や記事、また出版物のコピーなどたとえ著作物ではあっても個人や家庭内など私的使用の場合は著作者の承諾はいりません。ただし「個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」という条件が付きます。

 

いくら自分で楽しむためだからと言っても、自分のホームページなどネット上に公開してしまえば、明らかに逸脱しています、また仕事上での利用も私的利用とはなりませんので注意しましょう。

 

確認しておきたい制限規定

制限規定につきましては
「時事問題に関する論説の転載等」(39条)
「時事の事件の報道のための利用」(41条)
ここには新聞・雑誌記事や報道に関することも規定されています。一通り読んでおくのもいいと思います。

 

最後になにかとお世話になる「引用」についての利用制限をとりあげてみます。

 

 

引用について(32条)

 

引用の条件

引用とは自説を証明や補強するため他人の文章などを引くことですね。以下の条件をみたせば、ネット上に限らず新聞や本など他人の著作物を無断で引用することができます。

≪条件≫
ア 既に公表されている著作物であること
イ「公正な慣行」に合致すること
ウ 報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
エ 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
オ カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
カ 引用を行う「必然性」があること
キ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
(文化庁著作権なるほど質問箱より)

 

本文より引用部分が長ければ、主従関係がひっくり返ってしまうのでいけません。また出所の明示が必要です、引用元は明らかにするなど一口に引用と言っても、細心の注意が必要です。

 

要約引用には要注意

それから「要約引用」には要注意です。要約をしてしまうと著作物を変形させたことになり、権利の侵害となってしまいます。また日付や名前などあきらかな間違いがあっても「著作者人格権」における同一性保持権がある以上、訂正はせずそのまま掲載し注釈をつけたほうが安全なようです。

 

公的機関からの引用

行政の広報資料など公的機関からの引用は2項により原則自由ですが、公的機関であっても必ずその引用元を明示しなければなりません。しかし「転載禁止の表示」があれば無断使用はできません、細かい注意をはらいましょう。

 

以上簡単に概要をながめてみただけですが、しっかりとした根拠や責任感についてあらためて考えさせられますね。新しい表現活動の場を与えられた我々は、知らぬ間に他人の著作権を侵害する側に回ってしまうことだってあるのです。インターネット上に配信されれば相手は不特定多数、そして「見る人が見れば」一目瞭然です、その時は知らなかったではすまされません、取り扱いには充分注意したいものですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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